みなさんこんにちは。
歯科医院が監修したお口のお悩み相談室です。
歯周病は多くの人が抱える口腔内の問題ですが、意外にも「歯周病はうつる」という事を知らない方が多いです。歯周病が周囲の人からうつる可能性について正しい情報を知ることは、ご自身やご家族の健康を守る上で非常に重要です。本記事では、歯周病がうつる可能性とその対策について詳しく解説します。
目次
- 歯周病の基礎知識
- 歯周病がうつるってホント?
- 歯周病がうつるメカニズム
- 歯周病の予防対策
- 歯周病の治療法とそのメリット・デメリット
- まとめ
1. 歯周病の基礎知識
歯周病とは、歯と歯茎の間に細菌が集まり、炎症を引き起こす病気です。放置すると歯茎が腫れて痛みが生じるだけでなく、最終的には歯が抜けてしまうこともあります。主な原因はプラーク(歯垢)と呼ばれる細菌の塊です。これが歯茎に炎症を引き起こし、歯周ポケットが深くなることで、歯を支える骨が溶かされてしまいます。初期の段階では痛みや自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行することもあります。
特に気をつけたいのは生活習慣や食生活の乱れ、不適切な歯磨き習慣が原因であることが多い点です。定期的な歯科検診で早期に発見・治療することが重要となります。また、ストレスや喫煙も歯周病のリスクを高める要因です。他の慢性疾患、例えば糖尿病とも深い関連があり、歯周病が全身の健康に悪影響を及ぼすこともあります。
2. 歯周病がうつるってホント?
結論から言うと、歯周病はうつる可能性があります。一緒に生活する家族やパートナーの間で、菌の共有が行われることがよくあります。具体的には、キスや飲み物の共有、食器の使い回しなどの行為を通じて、歯周病菌がうつることがあります。特に親子間や夫婦間での感染が多いです。
ただし、全ての人が必ずしも感染するわけではありません。個人の免疫状態や生活習慣、口腔衛生状況によっても異なります。健康的な口腔環境を維持している場合、感染のリスクは低くなりますが、それでもうつるリスクはゼロにはなりません。ですから、日常的な予防措置が重要です。
3. 歯周病がうつるメカニズム
では、歯周病がどのようにうつるのか、そのメカニズムについて詳しく見ていきましょう。歯周病の主な原因菌である「ポルフィロモナス・ジンジバリス」や、その他の病原性細菌は、口腔内の唾液を介して伝播します。細菌そのものは非常に微小で、肉眼では見えませんが、多量に存在することで感染が成立します。
例えば、キスをすると一緒に唾液も交換され、その中に含まれる病原性細菌が相手方の口腔内に移ることになります。また、大家族で一つのタオルを使うなどの行為も感染のリスクを高めます。具体的な事例として、歯周病は夫婦間で特に感染しやすいことが分かっており、片方が歯周病にかかっていると、もう片方も感染するリスクが高まります。また、乳幼児への影響も深刻です。親が唾液のついたスプーンで子どもに餌をあげることで、子どもが若干な感染リスクを持つことが報告されています。
4. 歯周病の予防対策
歯周病を予防するための対策はいくつかあります。その中でも最も効果的なのは、日常的な口腔ケアです。しっかりと歯磨きをすることで、プラークの蓄積を防ぐことができます。正しい歯磨き方法としては、歯ブラシを45度の角度で歯と歯茎の境目に当て、小刻みに動かして磨くことが推奨されます。さらに、デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで、歯と歯の間に挟まった食べかすや細菌を取り除くことができます。
定期的な歯科検診も重要です。少なくとも半年に一度は歯科医院を訪れ、専門家によるプロフェッショナルクリーニング(PMTC)を受けることが望ましいです。これにより、自分では取りきれないプラークや歯石を除去することができます。また、口腔内の状態をチェックしてもらうことで、早期発見・早期治療が可能になります。
さらに、感染を防ぐために家庭内での対策も重要です。例えば、家族全員が同じコップやフォークを使わないようにする、キスを控えるなどの注意が必要です。個人の飲食器を分けることで、細菌の伝播を防ぐ効果があります。
5. 歯周病の治療法とそのメリット・デメリット
歯周病の治療法はその進行度によって異なります。軽度の歯周病(歯肉炎)の場合、正しい歯磨き習慣とプロフェッショナルクリーニングで治癒することが多いです。一方、中等度以上の歯周病の場合、より積極的な治療が必要となります。
中等度の歯周病では、スケーリングとルートプレーニングと呼ばれる非外科的治療が行われます。これにより、歯周ポケット内のプラークや歯石を徹底的に除去します。この治療は一般的に複数回の通院を要し、その費用は保険適用で約5,000円から15,000円程度になります。
重度の歯周病では、外科的治療が必要となります。これは歯周外科手術や、場合によっては骨移植を含むことがあります。手術により、感染した歯周ポケットを徹底的にクリーニングし、歯茎を健康な状態に戻すことを目指します。この治療法のメリットは、深刻な感染が進行するのを防ぎ、最終的には歯を守ることにあります。また、見た目も改善されるため、心理的な安心感も得られます。ただし、手術費用は高額で、保険適用外の治療だと数十万円かかる場合もあります。
治療を受けることで、長期的には健康な口腔環境を維持でき、他の病気のリスクも減ります。逆に、治療を怠ると歯を失うリスクが高まり、将来的にはインプラントや入れ歯の費用がかさむ可能性があります。
6. まとめ
歯周病は単なる歯と歯茎の病気にとどまらず、全身の健康にも大きな影響を与える深刻な疾患です。また、歯周病は他人にうつることがあるため、家庭内での口腔ケアも非常に重要です。日常的な正しい口腔ケア、定期的な歯科検診、そして家庭内での感染対策をしっかりと行うことで、歯周病のリスクを大幅に低減することができます。健康な口腔環境を維持するために、今日からできることを始めてみましょう。
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